2014年2月10日月曜日

【ネタバレ極力なし】だいらんどを読んだので感想を書くよ〜!


ネットで名作と言われている「だいらんど」を読んだので感想を述べます。

てか、この作品ネットで無料で見れるんですね。

もう絶版なので手に入りにくい。Amazonの中古で635円+送料で買ったので初見の作品に対する価値としては高いかな。タダで見れるんだからネットで見る事をお勧めします。

あらすじ


主人公は36歳のヤクザのおっさん。組織内の電話番をしている下っ端の存在。組長にここらで一発当てろと拳銃を渡されヒットマンをする事に。しかし、それが失敗して追われる途中、気がつくとメルヘンの世界「だいらんど」に迷い込む。

メルヘン世界の住人はみんな人形。そこは労働も死も無い世界。そこで擬似的な幸福を味わう。しかし、主人公はそれを拒絶する。だいらんどを旅して現実の世界へと帰ろうとする。まぁこんな感じかな。

主人公の動機が不明


さて、感想です。一番不思議に思ったのが、主人公がだいらんどを出たい動機です。最初は大掛かりなどっきりだと思って怪しむのですが、それがあまりにも大掛かりすぎるのでドッキリ、誰かの悪ふざけでは無いと物語早々に悟ります。どっきりでないならこの世界と現実での自分の境遇、どちらがいいかと言えば確実にだいらんどです。なぜ、この幸せな世界にいるのに、苦労して不遇の現実に帰りたいかが分かりませんでした。


疑似でも幸せは幸せじゃね??


この作品、発行日を見ると1999年の10月です。既に15年ほど前の作品なんですね。この間に僕の感覚が(世間と言いたいが)かわったのじゃないかと思います。だいらんどでは疑似的なしあわせ、いわばウソというか幻想、洗脳チックな幸せを提示されます。物語全体では、「そんな擬似的なものは本物じゃない。現実が一番いいに決まってる」っていう主張が大前提として進んでいきます。1999年時点ではそうだったかもしれません。しかし、ネットが普及した今ではその考え方自体に違和感を覚えざる終えないのです。

コンビニの高級店スイーツも疑似体験


現代では、多くの人がSNSで不特定多数の人間と繋がりあっています。顔も見た事無い人間とコンタクトを取れる現代。この人間関係は擬似的なものです。人に言えない悩みなんかはこう言った人たちの方が相談しやすいんじゃないかな。どちらが大切かといえば、一概に現実の人間関係が絶対にいいって言い切れないと思います。

もっと言うならコンビニの有名店監修のスイーツ。ホントは店舗に並ばなければいけないのに気軽に低価格で食べれる。有名ラーメン店のカップラーメンも同じですがこういったものも擬似的体験です。絶対に店で本物を味わうべきという意見もあると思いますが、値段等を考慮すると疑似体験でもいいような気がします。

なぜ、現実の世界が絶対いいの?


こんな時代に、絶対に現実の方がいいんだよ!!って言われても「どうして現実がいいの?」ってこの作品の根本を揺るがす問いが生まれてしまいます。そこをメインテーマにしてもっと掘り下げて欲しかった。

最後のキメ台詞が響かない


物語終盤、主人公がだいらんどを出る時に言うセリフ。だいらんどの創造者に対して主人公はこう言います。

「遊んでばかりいると…大人は不安になっちまうのさ」

う〜ん。このセリフに漠然ともやがかかるのは僕だけでしょうか。言ってみりゃこれは労働賛美、頑張って汗流して働こうね。って一見ごく当たり前でよいとされる事を言ってるように見えます。当時は疑い用の無いよき事だったのでしょう。しかし、現代はネットなど科学の発達、発展途上国の向上で仕事はどんどん無くなっている状況です。さらに、もう良くはならない景気ってのを悟った現代人は労働という概念をもう一度考え直す時期に来ています。

労働って何なのか?


この「遊んで」って言うのが何をさしているのか。元ライブドア社長の堀江さんは宇宙事業開発をしていますが働いているといった実感はないそうです。ゲームをやっているのが遊びなのか?プロゲームプレイヤー、ウメハラは遊んでいるのか?youtubeに動画をアップして人に感動を与えた人はどうなのか?

遊びと労働の定義が曖昧な時代


この遊んでが「お金をもらわない行動」という狭い意味を指している気がします。現在は遊びと本来の意味での労働の線引きが分かりにくい時代です。既得権益の為の意味の無い仕事と多くの人に感動や喜びを与える趣味、大きな意味でどちらが労働でどちらが遊びなのか?そういった時代にこのセリフは説明不足というか不自然な気がしました。まぁ15年前の作品だから仕方ないんだけどね。

最後に…

いろいろ言いましたが、物語としてはしっかりしてるし、最後にはちゃんと感動できる。伏線もしっかり回収してハッピーエンドな良作品です。タダで見れるので読んで損する作品ではないです。是非、ご覧あれ。









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